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ノスタルジック解説ブログ

(二)伊香保の名勝②【大正15年「上毛の温泉」より】

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(二)伊香保の名勝②【大正15年「上毛の温泉」より】

この文章は、大正15年に発行された「上毛の温泉」の内容です。又、旧字や現代では使用しない漢字、旧仮名遣いなどは読みにくいために、現代様に改めました。


(二)伊香保の名勝②

(3)榛名山
 利根川渓谷の東には、利根の連山を率いて赤城山が屹立し、西には吾妻の群峰を統べて榛名山が立っている。両山とも、山ぼう高峻、何れ劣らぬ名山である。

 榛名山は、海抜千四百四十八米、標式的二重消火山である。即ち榛名富士(一三三〇米)は中心火口丘、榛名牧場は火口原、榛名湖は火口原湖、沼尾川は火口瀬、烏帽子岳・鬢櫛山・硯嶽・掃部嶽・氷室山等は外輪山である。

 榛名富士は、榛名湖の東北岸に聳えて、麗しい円錐形を現わしている。湖面より高きこと二百五十米、頂上の旧火口は馬蹄形をなして、東に向かって開き、残壁は北方が特に高く、火口内から東方の開口に向かって、溶岩の流出した跡がある。烏帽子岳は榛名富士の北方、形が風折烏帽子に似ている。鬢櫛山はその西、硯嶽は湖の西岸にある。掃部嶽はその西南にあって、連嶺の最高峰である。何れも登るには極めて容易である。榛名湖に行った者は、婦人でも皆登る。これらの頂上から眺めた榛名湖の景色は亦、特別である。

 沼の原を隔てて、榛名富士の西東に、相馬山(一四一一米)が屹立し、その東北に二ツ嶽がある。両山共に寄生火山である。


(4)相馬山
 沼の原の半から、東南に分かれた道を登る。爆裂作用のためしょう壁が多く、登るには中々困難である。所々に峻坂絶壁があって、或いは岩を捉えて攀じ、或いは鎖に依って登るところがある。頂上には黒髪神社がある。北に吾妻利根の連山があり、魁偉な赤城浅間は左右にあり、妙義は眼下に展開し、東南遥かに富士を望み、眺望が頗るよい。利根川は、赤城山と榛名山の渓谷の底を流れる筈なのに、赤城山の中腹を巻いている様に見えるなどは、他に見られない眺めである。


(5)二ツ嶽
 湯元から半里、鷹巣茶屋がある。ここから左に入って登る。高い嶺は男嶽、低いのが女嶽である。満山悉く焦石で、形状の面白い岩石が累々としている。北麓は湯の平といって、秋草の名所である。


(6)水澤山
 別名浅間山で、頂上に浅間神社がある。町の入り口、地蔵河原の高原から、右に分かれて三十町、水澤観音がある。坂東三十三番札所の第十六番で、水澤寺は天台宗の古刹である。水澤山は西方直ちに天を突いている。ここから二十町、杉の茂みの中を行くと、船尾瀧(不入の瀧)がある。高さ二十丈三尺、巾三間、雄瀧、雌瀧の二段になっている。

 渓を南へ渡って西に折れ、十数町行くと、ガラメキ温泉がある。火傷・皮膚病・梅毒・疝気・寸白等に効がある。


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