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ノスタルジック解説ブログ

温泉浴に就いて【大正8年「伊東及附近」より】

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温泉浴に就いて【大正8年「伊東及附近」より】

この文章は、大正8年に発行された「伊東及附近」の内容です。又、旧字や現代では使用しない漢字、旧仮名遣いなどは読みにくいために、現代様に改めました。


温泉浴に就いて

 湯治をするにも、多少の節制と用心とをしなかったら、その効は無いので、病気がよくなるのも、保養になるのも温泉の効ばかりでなく、尚、精神的療養の力も持たねばならぬのである。少なくとも滞在の間は商売を忘れ、勤めを忘れ、又、家庭の煩いを忘れ、一切の活社会を後ろにして、呆然した者になり、浴って食って歩いて寝ての四つをお勤めとする様な気分にならねば湯治の効も半分である。即ち、精神療法の効は偉大なものである。

 温泉にたくさん入ったから効能が余計あるとは言えない。温泉を直に飲むから身体によく効くとは言えない。多少の注意と心得とが無いと、効が少ないばかりでなく、ある場合には、悔いを残すことにもなる。

○選択:温泉を選ぶのは病気の者なら、その適した泉質の所へ行くのは当然の事で、伊東は呼吸器患者に余り効がないことを心得ねばならぬ。熱海は専門医がこぞって推薦する呼吸器病者の霊泉で、又、新見のようにその専門医が伊東には一人もいない。

○時期:公職や商用との関係や、病気の都合で、時は決められぬが、普通、三、四、七、八、十、十一月等が良いとされている。伊東の冬は暖かである。伊東の二、三、四月は、小春日和の続く行楽の好季。七、八、九月は海浴と釣魚に賑わう。そして、同温泉に三、四年と続けると効が多い。

○機関:温泉療法の奇観は、大概三週間を適当としている。リウマチスの様なものは月を超ゆることあるのは勿論である。

○入浴度数:老人と衰弱者は一日一回、若い人、壮健者であったら三、四回が適度で、閑なままい五度も六度も入浴するのは、かえって結果がよくない。

○食事の前後:食前食後は一時間を隔てねばならぬ。特に、食後直ちに入浴することは慎まねばならぬ。

○入浴時間 長くて三十分を度とする。病気によって神経痛ならば長くともよいが、新造に影響ある症なら短くという様に、自分の身体に聞くべきである。

○飲用:温泉飲用は病気によって効能があるから、自分の主治医に泉質を知らしで、その判断を乞うがよい・飲む量も茶碗茶碗に一杯づつ二回くらいを飲み始めとして、一日五合を超えてはならぬ。又、婦人病者は温泉飲用をしない方がよい。

○房事過度:飲食の節制などを慎み、適度の運動を忘れてはならぬ。



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