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花の上野を飾る 大礼記念国産振興東京博覧会【昭和3年「3月14日官報」より】

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花の上野を飾る 大礼記念国産振興東京博覧会【昭和3年「3月14日官報」より】

この文章は、昭和3年の「3月14日官報」の内容です。又、旧字や現代では使用しない漢字、旧仮名遣いなどは読みにくいために、現代様に改めました。


花の上野を飾る 大礼記念国産振興東京博覧会
三月二十四日より開く


 この度の博覧会については、その由来を少し述べておきたいと思う。それには、国産振興運動、その発端から説く必要がある。しれは大正十四年十月工政会第三回大会の全国工業化大会において、国産振興に関する決議が行われ、隣席の商工大臣その他各大臣の賛成に基づき、大会実行委員の努力で十一月六団体(東京商工会議所、東京実業組合連合会、工政会、帝国発明協会、日本工業クラブ、日本産業組合)の会合となって、急転直下、阪谷芳郎男を開帳とする国産振興会となった。

 ここにおいて、さらに官民各関係機関と連絡提携して、大阪、名古屋、京都その他の各地位それぞれ国産振興会を設置し、政府を動かして国産振興委員会を組織させ、遂にここ両三年来、わが国産業界の指導精神となれる、国産振興運動の規模を確立するにいたった。

 同年十二月、国産振興に関する決議をなし、会長は時の首相加藤子および片岡商工大臣に面接して、決議を手交すると同時に官民一致してその実行をなさんこと力説した。その決議中の第二項に「国内において生産または加工した生産品のみの博覧会、見本市等を催す」との項に基づいて、国産振興会は博覧会特別委員を設け、大正十五年早々、国産博覧会の計画をたて、ほぼ成案を得てこれを実行の便宜上、東京商工会議所に一任することになった。続いて各地において、土地の状況に応じて、各種の専門的国産博を催す予定であって、例えば昭和二年秋の大阪国産振興会の主催した国産原動機博覧会、同年の秋、愛知国産振興会の主催した国産染織工業博覧会等は、一部の実現したものである。

 当初の計画は、昨年春の東京の総合的博覧会を開いてから、前記の博覧会および十五年秋、六大都市商工会議所主催、商工省後援の下に催された国産振興汽車博覧会(東部列車は東京を基点として十月四日より十一月一日まで、西部列車は神戸を基点として十月五日より同二十八日まで、わが国各主要都市を巡回)の如き、移動式博覧会をもって、数年間各地にわたり、各専門の産業を通じて、最も意義ある国産品展示の目的を完了しようとしたのである。

 しかるに、不幸にも我等は先帝崩御に逢い、国産振興博覧会は一旦無期延期になったのであるが、悲しい諒闇は明けて、ここに新帝の御大典を挙げる昭和三年を迎え、国産振興博覧会も具体化する時期にいたったのである。


博覧会の組織
 総裁に閑院宮戴仁親王殿下を戴き、副総裁に国産振興会長、阪谷芳郎男、会長は主催団体東京商工会議所会頭、藤田謙一氏、副会長に稲茂登、岩崎の両氏なお商工会議所議員十五名よりなる常務委員があって、杉山氏が委員長となり、一方協賛会においては、渋沢栄一子を総裁に、東京府知事、東京市長が副総裁に、東京実業組合長が会長という顔ぶれで、博覧会事務局は設けられた。

 顧みれば、この上野において、満五十年前、即ち明治十年現在の東京博物館のことろで、第一回内国勧業博覧会が開かれたのが、日本における博覧会の始めてであって、爾来博覧会は上野、上野は博覧会と、切っても切れない因縁の場所であったが、先年上野公園を帝室より東京市に下賜され東京市は恩賜公園と名付けて公園計画を進めつつある結果、明治十年の第一回内国勧業博覧会より満五十年、平和記念博覧会より七年目にしてこの博覧会を開き、上野の竹ノ台はこれを名残に、永久に博覧会の影を見せないことになる。


今回の博覧会は国産品だけ
 これまでの博覧会は常に内国製品と共に外国製品を展示し、しかも皆外国館または参考館と唱えて、城内の呼び物の一として、むしろ外国品の宣伝の機械を多くを與えるような嫌いもないのではなかった。産業発達の道程において、これまた一時の方便としてやむを得ないことではあるが、日本も既に開国六十年、相当外国品に劣らない品物も総ての方面において生産され、外国製品の輸入を廃し、国産原料材料によって加工しているのにもかかわらず、世間一部においてはなお盲目的に外国品を信仰し、或いは国内に優良な製品の生産されることを知らない状態であるから、国内において生産または加工した品物のみを陳列展示して、我が国産業発達の現状を如実に示すことに必要を感じ、国産品のみに限って出品を認めるとゆう意味においては最初の博覧会を催す次第である。(倉橋事務総長談)

・場所
東京上野公園
・期日
三月二十四日より、五月二十六日まで
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