この文章は、昭和14年に刊行された「全日本国力総動員」の内容です。又、旧字や現代では使用しない漢字、旧仮名遣いなどは読みにくいために、現代様に改めました。
広島県
「広島市」
県庁と師団と文理大と高等学校と鉄道局と多数の大工場を有する広島市は人口26万の大都会で、生産力一ヶ年一億円、あらゆる点で中国第一の都会である。新広島港の築港計画、市内河川の運河化を目的とする太田川改修計画等、市の躍進に資す施設も着々緒につき、また、戦時下の年として重要任務を果たしつつ独特の発展を遂げつつあり。
さらに日満経済ブロック統一強化は同国と関係の密接な地であるだけに貿易の躍進を促し、鉱業の発展と相俟って六大都市に迫らんとする勢いである。
名所旧蹟に至っては旧大本営、明治天皇行在所、広島城天守閣、浅野候別邸、観古館、饒津公園等、枚挙に遑なく、名産の牡蠣と鮎、柿等も観光者を最も満足させるものである。
市内の文化施設は電車、バス網が縦横に張られ、劇場公園等も完備しているから現在でも裕に大都市の風格を具えているが、横山市長以下全市民発展に協力しているから七大都市となるのも遠くないであろう。