この文章は、大正9年に刊行された「別府温泉案内」の内容です。
又、旧字や現代では使用しない漢字、旧仮名遣いなどは読みにくいために、現代様に改めました。
別府港桟橋
海路汽船にて別府港桟橋に上陸して、土地不案内の方は宿屋組合より出しある案内者(赤帽)に用件をお尋ねになり総てをお任せになった方が至極安全であります。案内者は誠意親切に一々くわしくお答えし、ご希望に適した旅館へ御手荷物等無料でご案内致すことになっています。尚、車賃は左の規定であります。
人力車賃金概表
・桟橋より、別府各宿屋及び別府駅迄金二十銭。松原公園、浜脇迄二十五銭、朝見迄金三十銭。
・市内、十丁以内金二十銭、十五丁以内金二十五銭、二十丁以内金三十銭、一里以内金四十銭。
・市外、観海寺、新別府、亀川まで金四十五銭。鉄輪迄金六十五銭、明礬迄金七十六銭(片道)。
・一日雇切(三里以内)金二円五十銭、半日金一円五十銭、客待ち一時間毎に金十五銭。
但し、暴雨風難道夜間は二割ないし五割増しであります。
別府停車場
別府駅に下車したが、さて宿はどこにしようかと迷う方は、停車場前に別府宿屋組合の事務所にお立ち寄り下されば、案内役が二~三名おりまして、誠意親切に宿屋の位置、間取りの具合、設備、宿泊料等委しく申し上げ、また御病気療養なれば、どこの温泉に入浴なさるが宜しい、医師は何町にと一々懇切にお答えし、御希望により適当の宿屋にご案内し、お手荷物等は無料で安全に宿迄お届けする事になっています。
賃金表
別府駅より別府各旅館、及び桟橋迄の車賃は金二十銭、浜脇及び松原迄金二十五銭、朝見迄金三十銭。
馬車賃、別府より観海寺、亀川、新別府迄金二十二銭、鉄輪迄金三十七銭、明礬迄金五十四円(片道)。
馬車一台貸切は各々六人分の賃金を要します。但し、暴風雨、難道、夜間は二割ないし五割増しです。
自動車は別府鉄輪間を定期乗合の便があります。